なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない2022.09.14 (水)

なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない

ヌィ ヌィ リン(NEW NWE LIN)

1990年8月11日生 32歳

留学生として来日し、「技術・人文知識・国際業務ビザ」を取得。
現在、群馬県内のホテルにてフロント兼外国人観光客担当者として勤務中。


日本に行こうと思ったきっかけは?

18歳の時、初めて日本に来ました。
先に日本で暮らしていた伯母の招待旅行で来ました。
その時、非常に治安が良く、夜中に女性が一人で歩いても何の問題もなく安全なことに驚きました。生活においても、多くのスーパーマーケットやコンビニが長時間営業しているなど、利便性がよく、日本人は充実した暮らしを送れていると思いました。街にゴミも落ちていなく、きれいで快適なトイレが至る所にあり、しかも無料で使用できることに感動しました。ミャンマーより様々な点で優れている日本で就職し、住みたいと思いました。

日本で就職するためにどんな努力をされましたか?

まず、留学生として来日しました。
日本の学費は高いため、昼は学校へ行き、夜は飲食店でアルバイトをして学費と生活費を稼ぎました。しかし、留学生は週に28時間以上働いてはいけないので、生活費を節約して学費を貯めました。学校とアルバイトを両立するのはとても大変でした。
出席率が低いと就職にも影響が出るので、欠席せず、夢を叶えるため必死に頑張りました。
日本語学校で2年間、トラベル&ホテル専門学校で2年間、経済経営学部の大学で2年間、計6年間の学生生活を過ごし、夢だったホテルに就職することができました。

就職活動はうまくいきましたか?

日本の就職活動はとても大変でした。書類選考から面接まで、いくつもの難関を通過しなければなりません。
最終面接まで頑張って行こうという気持ちで毎日ポジティブに考えていました。
書類選考で落ちてしまった時はとてもつらい思いをしましたが、内定通知書を貰った時の嬉しさは今でも忘れません。

仕事で苦労したことはありますか?

一番大変だったのは、敬語です。接客用語、敬語の勉強をたくさんしました。
それでも、見た目が外国人であることで、日本語に違和感があると感じたお客様が「他に日本人スタッフはいないのか」と尋ねる時があります。
そう言われると、悔しく、悲しい気持ちになります。自宅に戻ってから泣いた日は数え切れませんでした。

ただ、泣いているだけでは解決になりません。
辛い時こそ笑顔でいることを心がけていました。フロントに立っている時点では日本人、外国人であることは関係ありません。ホテルマンとしての責任を果たさないといけないので、日本語を上手になるようにたくさん練習をしました。外国人に対して優しい日本人が大多数ですが、日本語が上手になった今でも見た目で判断されることがあります。

今では慣れましたが、最初はかなり辛かったです。

いい経験になったことはありますか?

同僚は全て日本人なので、早いスピードで日本語が上達しました。
ホテルでは接客が主な業務ですので、相手に分かりやすい日本語を喋るように心掛けています。敬語を褒められるようになった時は、自分でもびっくりしました。仕事をしながら、日本語を習得することができたのが良かったと思います。

休日はどのように過ごしていますか?

日本では季節を感じられる所が好きです。
それなので旅行が趣味ですね。友人の車でドライブによく行きます。
冬になり、雪を始めて見た時はキレイで不思議な気持ちになりました。
春は、花の種類も多く、見ていると心が癒されます。
夏は、山や海に行くと気分が高揚します。
海を眺めることも好きです。

向こう側には自分が生まれ育ったミャンマーがあると思い、今まで日本で頑張ってきたことや自分自身のことを振り返ったり考えたりします。時には、ミャンマーにいた当時を思い出して、遊びに帰りたいと思う時もあります。
日本は良いことばかりではなく、災害も多いとも思います。
地震や台風が来ると怖い時があります。

これから行ってみたい場所はありますか?

今、教習所に通っています。車の免許が取れたら行きたい所がたくさんあるので楽しみです。
これから大阪、北海道、沖縄等の遠い所に行ってみたいです。
知らない場所に行くと新しい発見があり、その地域の人柄、文化、自然に触れられます。
いつもの日常を忘れて自分自身をリセットできるので、また明日からの仕事を頑張れる気になります。

今後の目標を教えてください。

来年の1月から店舗マネジャーにならないかと上司から話が来ています。日々仕事を夢中に頑張っていたことを評価されて、とてもうれしく思っています。
私にその役割が務まるかわかりませんが、精一杯頑張っていくと決意しています。

今後はエリアマネージャーになりたいと思っています。
経営のことやたくさんのスキルを身につけて、エリアマネージャーとして誇れる人に成長できるように頑張ります。
外国人でエリアマネージャーになるのは簡単ではないと思います。自分自身の為、高い目標を設定して、努力していきたいと思っています。

夢はありますか?

大好きな日本で永住権を取得して、庭付きのマイホームを購入することが私の夢です。
いつか、庭でこどもと夫が遊んでいる所を見ている自分を想像して、夢を叶えられるように頑張っています。
そして、こどもの時から今まで面倒を見てくれた伯母へ恩返しをしたいです。お金の面だけではなく、身の回りの生活も支えていきたいです。

大事にしている言葉はありますか?

イギリスの作家、ジョージ・エリオットの言葉

「なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない。結果は、後からついてくるものである」

を大切にして今まで生きてきました。
就労ビザで働いて日本に住むという私の第一目標は叶いました。6年間、目標を叶えることだけを考えて一生懸命頑張りました。
気が付いた時には結果が後からついてきていました。

私はこれからミャンマーから来る方達には、結果を先に求めず、自分自身で語学力やスキルを身につけて、最大限の努力をしてほしいです。ある程度、時間が経てば頑張っていることを見てくれている人が必ず評価してくれます。
それが自分についてきた結果なのです。

ミャンマーから来た方達の中には、自分にまだ十分な能力が身についてないのにもかかわらず、お金のことだけを考えて、転職を繰り返して、最後には日本に居られなくなり帰国してしまうことを最近耳にすることがあります。
これから来る方達には目標をしっかりもって、目標を達成するためには、自分の努力と時間が必要であることをしっかり認識して来てください。
他国で生きていくのには忍耐力と強さが必要です。ミャンマー人の誇りをもって日本で成功してほしいです。

日本の企業や日本の方がミャンマー人を雇用して良かったと思えるように頑張ってほしいです。
日本で働くミャンマー人、一人ひとりがミャンマーの代表であることを自覚してください。日本のマナーやルールを守れないと、ミャンマーの人はダメだと思われてしまうこともあります。
一生懸命頑張って、なぜ日本に来たのか、自分の目標は何なのかを自分に問いかけ、どんな時でも初心を忘れないでください。