なぜミャンマーなのか2022.09.14(水)
- 総合人材支援
アジアのラストフロンティア
「アジアのラストフロンティア」と呼ばれるミャンマー は、特定技能人材の採用ターゲットとして熱い視線が集まっています。
ミャンマーは日本の1.8倍広い国土と、5,000万人の人口を抱えながらもGDPは712億ドル。フィリピンの3,309億ドル、ベトナムの2,452億ドルに比べ、まだ低い段階と言えます。
また賃金も低いと言われています。ミャンマーの新卒・第2新卒の初任給は月額20万チャット(約133ドル、1ドル=約1,505チャット)~25万チャット程度で、首都ヤンゴン以外の地方都市との格差も見られます。そのため、日本での就労は高給の取れる仕事と位置付けられています。
ミャンマーはこれまで、インフラや政治の安定などの課題が散見されましたが、近年徐々に改善傾向にあり、長期的な将来性は評価されています。一方で「ロヒンギャ」難民問題や「クーデター」などの問題があり、ミャンマー国内情勢が安定しきっていないのもまた事実です。
そういった中、2019年4月に在留資格「特定技能」が新設されました。安定した環境の日本にはミャンマー人による出稼ぎのニーズがあり、特定技能とも相性が良いと見込まれます。詳細は後述しますが、特に介護人材との相性は良いと言われています。
近年では、日本とミャンマーの間にMOC(特定技能を有する外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協力覚書)と呼ばれる2国間協定が交わされ、新たな在留資格「特定技能」での就労が増え、従来よりも即戦力としての採用ハードルは下がっています。特定技能人材の採用ルートとして、ネパールやインドネシア、カンボジアなどに並び注目されています。
こうした流れの一方で、特定技能のミャンマー人受け入れに関するルールやガイドラインは少々複雑です。
そこで、在留資格「特定技能」でミャンマー人を採用するメリットを解説します。
在留資格を取得しているミャンマー人
日本に滞在しているミャンマー人は多く、日本国内全体で2万4,471人のミャンマー人がいるとされています(2018年6月調査)。
内訳を見てみると、「技能実習」が1〜3号の合計で6,814名、「留学」が6,444名。「定住人口」は合計およそ5,000名程度で、その内訳は「定住」が2,452名と「永住」が2,041名。ほかにも配偶者が500名以上おります。多くのミャンマー人がすでに日本へ渡航していることがわかります。
ベトナムやフィリピンに比べると規模は小さいですが、技能実習や留学などで多くのミャンマー人が来日しています。
このうち技能実習2号を良好に終了すると、特定技能試験の一部が免除される制度になっているため、安定した技能実習生の来日によって良好な特定技能人材の採用につながっていく可能性があります。
特定技能ミャンマー人を採用するメリット
「就労意欲が高い」
特定技能人材としてミャンマー人を採用するメリットは、ミャンマー人の大きなポテンシャルである「勤勉さ」に集約されます。
ミャンマーでは高校を卒業する際に、「統一試験」と呼ばれる試験を受けます。100点満点中40点を6科目で取る必要がある試験で、合格率は3割程度と言われます。この試験をパスするかしないかで将来の進路や稼ぎが左右されるため、試験をパスすべく、勉強に精を出す若者が多いという特徴があります。
また農業国ミャンマーでは、大学を出ても就職先が少ないため、国外で働くという選択もありふれたものになっています。タイで300万人、マレーシアで40万人が働いていると言われています。
「親日な国民性」「日本語レベル」
ミャンマーと日本との類似性もいくつかあり、まず仏教精神が根付いていること、それにより年上を敬う文化が比較的強いことが挙げられます。
また文法も日本と同じSOV型です。そのためミャンマー人にとっては自国の文法に日本語を当てはめるだけで会話が可能となるため、日本語の上達が早く、特定技能人材として就労に問題のない日本語レベルが早期に実現できると見込まれています。
また発音に関しても日本語が50音に対し、ミャンマー語(ビルマ語)は280音に及ぶため、ミャンマー人は自国語と発音の似ている語を拾って日本語を覚えます。
勤勉さと日本語との相性が合わさることで、会話に関しては他国の人々より早い日本語の習得スピードが期待できます。日本語の習熟支援を行うことで、上級クラスの日本語検定試験を受けてもらい、キャリアアップを図ると言ったことも目指せるかもしれません。
安心して働ける給料の良い国ということがミャンマー人に伝われば、特定技能人材としての受け入れも実現しやすくなるでしょう。
介護職を希望する人材が多い
ミャンマー人にとって特に人気が高いのは、実は介護です。もちろんミャンマーの皆さんも介護職が重労働ということを承知ですが、現地の仏教の教えとして「他人のために重労働を行うことで徳を積む」という考え方があり、進んで特定技能の介護分野、また外食や宿泊、ビルクリーニングなどの職種に参入しています。
また介護のほか、農業国であるため、ミャンマー人は特定技能の農業分野での活躍も期待できます。
平均年齢が低く将来的な労働者増加も
ミャンマーの平均年齢は29.0歳(2019年)と、日本の45.9歳(2019年)に比べ遥かに若く、高齢化が進む日本に対し、ミャンマーでの65歳以上の人口比率を示す高齢化率は5.7%。
また、ミャンマーの14歳以下が人口の4分の1を占めます。日本とミャンマーは人口が倍以上違い、ミャンマーは5440万人程度ですが、このうちの14歳以下の年齢層に絞ってみれば、人口がほぼ同数であることを示しています。
日本は少子化が進んでいるため、若年層に関しては将来的にミャンマーのほうが大多数になるでしょう。いかにミャンマーが若年層で形成されているかがわかります。
また、人口ボーナス期と呼ばれる時期にも注目です。
人口ボーナスとは :
総人口に占める生産年齢(15 歳以上 65 歳未満)人口比率の上昇が続く、もしくは絶対的に多い時期、若年人口(15 歳未満)と老齢人口(65 歳以上)の総数いわゆる従属人口比率の低下が続く、もしくは絶対的に少ない時期を指す
JETRO「人口ボーナス期で見る有望市場は」
ミャンマーでは、この人口ボーナス期が2053年ごろまで継続すると予測されています。特定技能人材の採用ルートとして、長期的にも有望視されています。