特定技能資格制度制定の背景Background

生産年齢人口の減少

1997年をピークに生産年齢人口(働くことができる年齢。対象:15歳以上〜65歳未満)が減少しています。

日本国内の生産年齢人口と総人口の長期推移
日本国内の生産年齢人口と総人口の長期推移
日本国内の生産年齢人口の推移
日本国内の生産年齢人口の推移
国別の生産年齢人口の推移
国別の生産年齢人口の推移

有効求人倍率の推移

生産年齢人口が減り続けている中で、有効求人倍率はピーク時に1.6になっています。新型コロナウィルスの影響で令和元年以降で大きく下がり1.1となりましたが、介護等の特定分野における人手不足は依然として解消されていません。

厚生労働省「一般職業紹介状況」に基づく統計
厚生労働省「一般職業紹介状況」に基づく統計

専門的・技術的分野以外の労働分野のニーズが増加

専門的・技術的分野のみ在留資格が認められる中で、その他の分野に属する「留学」や「家族滞在」(※)、あるいは、「日本人の配偶者等」の在留資格取得者は原則就労ができず、資格外活動という許可を取得して業務を行なっていました。
しかし、労働時間が週28時間以内と制限されているため、労働力不足の解消には繋がりませんでした。

また、技能実習制度は、日本で習得した技能や技術または知識を開発途上地域等の発展に寄与することを目的としているため、労働力の需給調整として活用できません。下のグラフを見ていただくと外国人労働者数は右肩上がりで推移していますが、このような制度の壁によって人手不足の改善につながっていないのが現状です。
※日本に在留資格を持つ人の家族として滞在できる資格のこと。

厚生労働省「外国人雇用事業所数及び外国人労働者数」
厚生労働省「外国人雇用事業所数及び外国人労働者数」

特定技能とはSpecific Skills

特定技能とは、日本の深刻な人手不足を解消するために、2019年4月から新たに導入された在留資格で、就労ビザの一つです。人手不足であると認められた14の分野※に対して、外国人の就労が認められます。
※ 特定産業分野と呼びます

特定技能の説明図

特定技能外国人の受け入れが可能な業種14分野(特定産業分野)

在留資格「特定技能」として外国人労働者の受け入れが可能な業種は、「特定産業分野」という名称で定められた、以下の14分野です。

No分野管轄備考
1介護厚生労働省
2ビルクリーニング厚生労働省
3素形材産業経済産業省
4産業機械製造業経済産業省
5電気・電子情報関連産業経済産業省
6建設国土交通省特定技能2号へ移行可能
7造船・舶用工業国土交通省特定技能2号へ移行可能
8自動車整備国土交通省
9航空国土交通省
10宿泊国土交通省
11農業農林水産省
12漁業農林水産省ミャンマーからの送り出し禁止
13飲食料品製造業農林水産省
14外食業農林水産省
特定技能外国人の受け入れが可能な業種14分野

人手不足が深刻な「介護」は、特定技能の受け入れが特に求められる

少子高齢化に伴う労働人口の減少により、介護を必要とする高齢者は年々増加しています。
こうした背景の中、介護業界では人手不足がより深刻な状況です。介護の分野は、高齢者とのコミュニケーションが必須であることから、より高度な日本語能力が求められます。
そのため、介護業界は特定技能制度の中で最も多くの受け入れを必要としています。

技能実習では受け入れができない特定技能「外食」など

特定技能の中には、技能実習の資格では従事できない分野もあります。例えば「外食」は「医療・福祉施設給食製造」という職種(作業)を除いて特定技能1号でなければ外国人を雇用することはできません。

また、食品製造業の一部、例えばアイスクリームなどの一部の菓子、みそやしょうゆなどの一部の調味料、納豆や豆腐などの製造や建設分野の吹付ウレタン断熱、海洋土木工は技能実習が認められていない作業です。これらの作業も特定技能1号でなければなりません。

特定技能についての詳細は法務省 出入国在留管理庁発行の特定機能ガイドブックをご参照ください。

技能実習制度と特定技能の違いTechnical Training and Specified Skills

在留資格には「特定技能」と「技能実習」があります。その2つの違いは、下図のとおりです。

特定技能技能実習
在留期間通算5年(特定技能2号以降、在留期間に上限なし)技能実習1号:1年以内
技能実習2号:2年以内
技能実習3号:2年以内
対象業種14分野82業種146作業
外国人の技能水準相当程度の知識または経験が必要なし
外国人の日本語水準日本語能力試験4旧
国際交流基金日本語基礎テスト
なし(介護職種のみ入国時N4相当必須)
入国時の試験技能水準、日本語能力水準(4級など)を試験などで確認(技能実習2号を良好に終了した者は試験免除)なし(介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり)
転職の可否可能(同一の業務区分内に限る)原則不可
受け入れ可能国9か国
ベトナム/フィリピン/インドネシア/カンボジア/タイ/ミャンマー/モンゴル/ネパール/中国/スリランカ/バングラデシュ/ウズベキスタン
14か国
ベトナム/フィリピン/インドネシア/カンボジア/タイ/ミャンマー/モンゴル/スリランカ/バングラデシュ/ラオス/インド/ブータン/ウズベキスタン/パキスタン
受け入れ人数枠なし(介護と建設は制限あり)あり
制度趣旨人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れ本国への技能移転
特定技能と技能実習制度の違い

人手不足の解消が目的の特定技能制度

特定技能は、人手不足の解消が第一の目的です。労働力そのものが目的であるため、即戦力が求められます。したがって、技能実習2号の修了や特定技能試験の合格といった、一定の水準を満たす経験や知識が必須になります。労働力を目的にしているので人数枠に制限が無い場合がほとんどです。※介護と建設分野は異なります。

技能移転による国際貢献が目的の技能実習制度

技能実習制度の目的は「技能移転」にあります。技能実習生たちは日本の先進的な技術を習得し、本国に持ち帰りその発展に寄与すること「国際貢献」を目的としています。
つまり技能実習生にとっての労働は、文字通り「実習」になりますので、技能水準や日本語水準は求められていません(介護職種のみ入国時N4相当必須)。

また、技術を習得することが目的であるため、転職は原則的に認められておりません。その他にも、単純労働のみの業務の禁止や、通算で働ける年数の上限に違いがあります。特定技能と技能実習生の違いは、制度趣旨の違いから生じたものです。

特定技能1号と特定技能2号の違いSpecified Skill Classes

特定技能には「1号」と「2号」があります。特定技能1号は、在留できる最長期間が5年。特定技能2号は上限がありません。
また、特定技能1号は家族を帯同させることができませんが、特定技能2号は家族へも在留資格が付与されます。
そして、特定産業分野の14の分野のうち、特定技能2号への移行が認められているのは、現在では「建設業」および「造船・舶用工事」の2分野のみとなります。
ただし、将来的にはその他の12の分野でも移行が認められると予想されています。

特定技能1号特定技能2号
在留期間1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとの更新、通算で上限5年3年、1年、または6ヶ月ごとの更新で上限なし
技能水準試験等で確認試験等で確認
日本語能力生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認試験等での確認なし
家族の帯同原則として認めない要件を満たせば可能(配偶者・子)
※技能実習2号修了者は試験等免除
特定技能1号と特定技能2号の違い

特定技能1号を取得できる外国人の条件

特定技能1号の在留資格は、外国人なら誰でも取得できるわけではありません。まず前提として、外国人の国籍が、日本と二国間協定を締結した12か国の国籍でなければなりません。その上で、法務省の出入国在留管理庁(入管庁)が定める「特定技能外国人に関する基準」を満たしていることが条件です。

特定技能1号、特定技能2号に共通の基準

  1. 18歳以上であること
  2. 健康状態が良好であること
  3. 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
  4. 保証金の徴収等をされていないこと
  5. 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内容を十分に理解して機関との間で合意していること
  6. 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続きを経ていること
  7. 食費、居住費等外国人が定期的に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること

特定技能1号のみの基準

  1. 必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他評価方法により証明されていること。(ただし技能実習2号を良好に修了しているものであり、かつ、技能実習において修得した技能が従事しようとする業務において要する技能と関連性があると認められる場合はこれに該当しない)
  2. 健康状態が良好であること

特定技能2号のみの基準

  1. 必要な技能を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること
  2. 技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められていること

特定技能外国人・受入企業・登録支援機関の関係Relationships

特定技能外国人の雇用開始後は、 省令で定められた支援業務が義務付けられています。
支援業務は受入企業が独自で行うこともできますが、その業務内容は多岐に渡り、 業務量も多く大変煩雑であるため、 登録支援機関に委託することが認められています。

OTA FACTORY は登録支援機関に正式登録されています。

弊社は登録支援機関として特定技能外国人の雇用後の万全なサポート体制も整備しておりますので、 安心して外国人材を雇用いただけます。
登録支援機関へ委託することにより支援計画が実施基準に適合するとみなされます。

特定技能外国人・受入れ機関・登録支援機関の関係
特定技能外国人・受入れ機関・登録支援機関の関係

省令で定められた支援計画10項目

1. 事前ガイダンス

雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前または在留変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明

2.出入国する際の送迎

入国時に空港等の事業所または住居への送迎
帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行

3.居住確保・生活に必要な契約支援

連帯保証人になる・社宅を提供する等
銀行口座の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続きの補助

4.生活オリエンテーション

円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明

5.公的手続等への同行

必要に応じ住居地。社会保証・税などの手続きの同行、書類制作の補助

6.日本語学習の機会の提供

日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等

7.相談・苦情への対応

職場や生活上の相談。苦情について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等

8.日本人との交流促進

自治会等の地域住民との交流の場や、地域のお祭りなどの行事の案内や、参加の補助等

9.転職支援(人員整理等の場合)

受け入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供

10.日本人との交流促進

支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3ヶ月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報

上記支援業務を外国人が十分に理解できる言語で実施することが義務化されています。
登録支援機関へ委託することにより支援計画の適切な実施の確保の基準適合とみなされます。

特定技能についての詳細は法務省 出入国在留管理庁発行の特定機能ガイドブックをご参照ください。